耳が不自由な方のための「避難所生活」で困らないための備え
突然やってくる自然災害。 地震、大雨、台風、洪水、土砂崩れ…
命からがら避難所にたどり着いても、 耳が不自由な方にとって、そこからが「もう一つの戦い」の始まりです。
今回は、避難所での生活という視点から、耳が不自由な方とその周囲の方が知っておくべきことをまとめました。
実際の避難所での事例
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東日本大震災の避難所では、聴覚に障害のある方が実際にこのような状況に直面しました。
「炊き出しの知らせが聞こえず、食事がもらえなかった」
「マイクで温泉行きの呼びかけがあったが聞こえなかった。1週間も風呂に入れなかった」
「仮設トイレが設置されていることを知らず、人の列を見て気づくまでずっと我慢していた」
音声でのアナウンスが中心の避難所では、情報にたどり着けないことそのものが、大きな被害につながります。 避難できたあとも、食事・入浴・トイレ・医療・手続きなど、次々と「音声でしか流れない情報」が命綱になっていくのです。
避難所で直面する4つの壁
① 聞こえないことが、周りに伝わらない
耳が不自由であることは、外見からはわかりません。
そのため、避難所スタッフや周囲の方が「気づかない」まま、情報が届かないケースが多く報告されています。
⇒対策
- 「耳が聞こえません」と一目でわかるビブス・ゼッケン・ヘルプマークや「災害時バンダナ」(東京都聴覚障害者連盟)などを携帯し、身につける
- 避難時に受付や自治会・スタッフに口頭以外の方法(筆談ボードやスマホのメモ画面)で自己申告する
- 家族・支援者と事前に「万一はぐれた場合の合図」を決めておく
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② 停電中は筆談も手話も難しい
暗い避難所の中では、文字を書く・読む・手話で伝えることも容易ではありません。
⇒対策
- 手回し・電池式のLEDライトや、ヘッドライトを防災バッグに常備する
- 光る文字盤(蓄光シート使用の筆談ボード)を用意しておく
- スマホのライト機能+文字入力アプリを組み合わせて使う
- 触覚コミュニケーション(手のひらに指で文字を書く「指点字」的な方法)を家族と練習しておく
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③ 補聴器が使えなくなる
電池切れ・浸水・紛失・乾燥不能など、補聴器がトラブルを抱えやすい環境が重なります。
⇒対策
- 予備電池を防水ケースに入れて多めに携帯する(できれば1〜2週間分)
- 補聴器の乾燥剤(シリカゲル)や携帯用乾燥ケースを備蓄する
- 補聴器の予備機や修理連絡先・保証書のコピーを防災袋に入れておく
- 浸水・紛失に備え、補聴器なしでも使える代替コミュニケーション手段(筆談具・手話・アプリ)を準備する
④ コミュニケーションの壁から孤立しやすい
周囲との会話が難しいことで、情報から取り残されるだけでなく、気持ちの面での孤立感も深まりがちです。
⇒対策
- 避難所内の「情報保障」担当者(手話通訳・要約筆記者)の配置を自治体に事前確認・要望しておく
- 掲示情報は音声だけでなく紙・スマホ通知でも受け取れるよう避難所運営側に働きかける
- 同じ悩みを持つ人とつながれる障害者団体・当事者ネットワークの連絡先を控えておく
- 日頃から近隣住民や自主防災組織に自分の状況を知らせておき、「気にかけてくれる人」を増やしておく
支援者に知ってほしいこと
耳が不自由な方は「見た目ではわかりにくい障害」です。
避難所では、次のことを意識するだけで、大きく状況が変わります。
まず存在に気づく工夫を
受付や案内板に「手話・筆談が必要な方はこちら」と書いたプラカードを掲示しましょう。
避難所スタッフがプラカードを持って巡回する方法も有効です。
放送のたびに、文字でも伝える
アナウンスの内容を紙に書いて掲示したり、近くの方から筆談で伝えたりするだけで、大きな助けになります。
コミュニケーション方法を本人に確認する
手話が第一言語の方もいれば、筆談や口話(唇の動きを読む)が合う方もいます。
一律に対応せず、「どちらが伝わりやすいですか?」とひと声かけることが大切です。
まとめ
防災の基本は、「自分の命は自分で守る」。 そしてその次は、「周囲の人と助け合える関係をつくる」ことです。
日頃から地域の方々と顔の見える関係を築いておくことも、避難所生活を乗り越えるための大切な備えのひとつです。
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避難所での生活は、「情報をどう受け取るか」が命綱になります。 今からできる準備を、少しずつ始めてみてください。
