認知症と難聴の関係性 ~最新の研究からわかる「聴こえ」の重要性~
「最近、テレビの音を大きくしないと聞こえない」
「会話で聞き返すことが増えた」
――そんな変化を、つい「年のせい」で片づけていませんか?
実は今、「聴こえ」と「認知症」の関係が、世界中の研究者から熱い注目を集めています。
難聴は「防げる認知症リスク」の中で最大級
2024年、医学雑誌「ランセット」の国際委員会が発表した報告が、医学界に大きな衝撃を与えました。難聴が、生活習慣などで対処可能な認知症リスク要因のうち最大のものだと明らかになったのです。
その寄与度は7%と算出されており、これは高LDLコレステロール(悪玉コレステロール)と並ぶ大きさで、高血圧・糖尿病・喫煙・肥満といった、私たちがよく知る生活習慣病のリスクを上回るという結果でした。
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さらにこの報告では、難聴を含む14の要因すべてに対策を取れれば、認知症の発症を最大45%も予防できる可能性があるとされています。
「耳を大切にすること」は、想像以上に脳の健康を左右しているのです。
そして加齢性難聴は決して他人事ではありません。75歳以上の高齢者の約7割が経験しているとされ、非常に身近な問題なのです。
なぜ「聞こえにくさ」が脳に影響するの?
聴覚障害がどのように認知機能へ影響を与えるのか、研究者たちは主に2つの仮説を提唱しています。
① 認知負荷仮説
音がはっきり聞こえないと、脳は「聞き取ろう」とするために余計なエネルギーを使います。会話の内容を理解するために脳のリソースが奪われてしまい、記憶や思考に使う余力が減ってしまう、という考え方です。
② カスケード仮説
聞こえにくさから会話や外出がおっくうになり、人と話す機会や社会とのつながりが減っていきます。すると脳への刺激そのものが少なくなり、じわじわと認知機能の低下につながっていく、という考え方です。
どちらの仮説も、「聞こえの悪さ」が単に耳だけの問題ではなく、脳全体の働きに波及していくことを示しています。
補聴器は「認知症予防」の心強い味方になる
「では、聞こえにくさに気づいたらどうすればいいの?」という疑問に答えてくれる、心強い研究結果も出てきています。
世界が注目したACHIEVE試験
アメリカ・ジョンズホプキンス大学のグループが行った「ACHIEVE試験」は、70〜84歳の高齢者977人を対象に、補聴器を使うグループと使わないグループを比較した、世界初とも言われる大規模な無作為化比較試験です。
その結果、特に認知機能低下のリスクが高い集団では、補聴器を使った聴覚介入によって3年間での認知機能の低下が約48%も抑制されたことが分かりました。リスクが低い集団では明確な差は見られませんでしたが、これは元々の低下速度がゆるやかで、3年という期間では効果が見えにくかったためと考えられています。
また、参加者全体で見ると、コミュニケーション能力の自己評価や孤独感、社会性の面でもプラスの効果が確認されました。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 難聴と認知症の科学的な可能性
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の公式ユーチューブチャンネルでは動画で分かりやすく説明してあります。
ぜひご覧くださいませ
難聴と認知症の関係
今日からできる「聴こえ」との向き合い方
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では【聴こえ8030運動】を立ち上げました!
これは「80歳になっても30dB(ささやき声が聞き取れるくらい)の聞こえを保とう!」という運動です。
もちろん補聴器を用いてもOK!!
難聴を「年だから仕方ない」と放置せず、早めに向き合うことが大切です。
- 大きな音を聞き続ける環境を避け、耳への負担を減らす
- 「聞き返し」が増えたと感じたら、我慢せず耳鼻咽喉科を受診する
- 聴力低下を指摘されたら、専門家に相談しながら補聴器の使用を前向きに検討する
- 規則正しい生活習慣を保ち、社会的なつながりを大切にする
補聴器というと、まだ少し抵抗を感じる方も多いかもしれません。
ですが、それは単に「音を大きくする道具」ではなく、脳の健康や生活の質そのものを守るための心強いパートナーとなってくれますよ😊✨
ご相談・お問い合わせはお気軽に
「聴こえ」は、私たちが思っている以上に、脳の働きや心の健康と深くつながっています。
ご自身やご家族の「聞こえ」に少しでも気になる変化があれば、それは体からの大切なサインかもしれません。
早めに気づき、向き合うことが、これからも自分らしく、いきいきと過ごすための第一歩になるはずです。
